旅日記

2014年10月29日(水)府中→丸子→岡部へ 19.5km

掲載日:2014.10.29

2014.10.29 JR静岡駅前近くの宝台院に家康の側室「西郷の局」の墓がある。徳川2代将軍秀忠の生母になる。この寺は、最後の15代将軍慶喜が将軍職後の謹慎生活をしていた場所でもある。その後、幕府の代官屋敷だった近くの浮月楼に21年間住んでいた。この地で多彩な趣味(自転車、写真撮影、油絵など)を楽しんだという。いまは料亭になっているが、なかをのぞくと木立に囲まれた庭園には回遊式の広い池がある。
 「東海道中膝栗毛」の作者・十辺舎一九の生誕地(両替町)を訪ねた後、駿府城跡へ。その後、直角にまがる東海道をとおって安倍川へ。橋の手前に川会所跡がある。東海道には架橋を禁じられた川がある。そこで川越人夫が人や荷物を渡すのを川役人が監督する所が川会所だ。橋の手前には由井正雪公之墓跡などがある。目の前に名物「あべ川もち」の店がある。ここでもち一皿を注文して小休憩。
 安倍川橋の長さは約500m。いまの川の水量は多いとはいえない。江戸時代はどうであったのだろうか。橋を渡ると丸子宿(静岡市)へ。ここは品川から20番目の小さな宿場だ。静かな町並みを歩くと三河屋、本陣・脇本陣跡、問屋場跡、柏葉屋など地元自治会が作製した案内板が目につく。由比宿でもみた「御七里役所」(由比から約28km)の碑がある。
 やがて歌川広重が描いた丁子屋(とろろ汁の店)に着いた。だが残念、きょうは定休日。十辺舎一九が「膝栗毛」で「けんかする夫婦は口をとがらせて、鳶とろろに、すべりこそすれ」と一首ひねっている。
 しばらく歩くと道の駅。ここでは「とろろそば」で昼食。ここから宇津ノ谷峠を越すと岡部宿だ。国道の右を渡れば旧東海道へ。手前の左にいけば「つたの細道」。地図をよくみないで「つたの細道」につい足がむいてしまった。細道には木の根っこがはっているし、ときどき石段がある。あまりにも狭いので、ここは旧東海道ではないとすぐに気づいた。昼なお暗い木立の険しい坂道だ。ハァ、ハァ息をしながらやっと峠頂上に着いた。下山すると「つたの細道公園」にでた。
 この細道は、「伊勢物語」内の在原業平(825~880年)の歌にも登場する古道で、平安末期からは官道になっていて、兼好法師など多くの文人が「蔦の細道峠越え」にふれているという。旧東海道ができたのはずっと後の時代だ。思いもかけない初めての古道歩きになった。
 とはいえ、北側の旧東海道も気になる。現在この峠には明治、大正、昭和、平成のトンネルが通っている。別の道にもどり、明治のトンネル(203m)を通ると、宇津ノ谷集落がみえはじめた。車がひんぱんに往来する平成トンネル(881m)とは高低差がちがう。峠を越えると岡部宿(藤枝市岡部)が近づいてきた。

写真

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