昔は江戸から京まで、徒歩で約2週間、町飛脚で6日、「御用」と書かれた継飛脚で3日かかったという。いまは東京駅から京都駅まで「新幹線のぞみ」で2時間20分。新幹線を横目でみながら歩くこともある。列車は独特の音をたて、ビューンとあっという間に通過していく。それに比べ、こちらは江戸時代と同じ頼りは自分の足、膝栗毛である。
東海道の旅は、不安や心配はそんなにない。なにしろ江戸時代の幹線道路だ。富士山をながめて、海をみて、箱根の山を越えて、峠を上り、町並みをぬけて、旧宿場を歩き、松並木をとおり、また峠を越えてという道だ。とはいえ、いくつかの準備は必要だ。
日程にそって、一日どのくらい歩けるか、どこをポイントにみるのかなど事前の準備は必要。道は沢山あるので、どこが旧東海道か見きわめるのがむつかしい。ぼくは『東海道五十三次ガイド』(講談社文庫)を事前に調べ、現地でもページをめくった。この本には、下段に5万分の1の地図と一里塚、寺、松並木など、みるべきポイントが地図上に書かれている。不明なところは、地元の人に道順、遺跡の場所をよく聞いた。
また東海道に関係する神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県などの県庁観光課あたりでも、見どころパンフレット等は無料で送ってくれる。さらに東海道の歴史などを調べたいときには図書館をお勧めしたい。まぁ、あまり頭でっかちにならない程度で、東海道の旅は楽しんだ方がいいというのが持論だ。
持ち物では軽いリュックで、カメラ、歩数計、携帯電話、コンパス、傘などがあると便利。旧東海道は、意外とコンビニ、食堂が少ない。昼食用に朝「おにぎり」を用意して出発する。また冬の季節は日の出、日の入りにも注意したい。日照時間の長い季節と比べ歩く時間がどうしても限られてしまう。宿は事前に予約した方が安心だ。あれこれと考えながらの、旅の準備も楽しい。
ぼくの場合、のんびり寄り道しながら東海道を一日20kmぐらい歩いた。突然そんなに歩けないので、自宅周辺のみどり豊かな狭山丘陵、狭山湖周辺などを10kmぐらい歩いてきた。距離感覚や疲れぐあいもわかってくる。日常のウォーキングは次の長距離のチャレンジにいいのかもしれない。